■人物設定
クレイモア/剣士
 金髪の剣士。正確には徒歩騎士。両手用の大剣クレイモアの使い手にて、其の剣の精霊。
 完全に受肉(=実体化)しており、普段は枯野家の居候の身分である。
 容姿は17歳前後の少女であり、かつてのクレイモアの所有者の姿を投影している。

□天馬旗幟/てんま・きし
 高校生(一年)。天馬家長男。苦労性、というか世話焼き。
 天馬家長女の「捩じくれ紛った性格骨子」の影響を過分に受けていることを自覚しつつ、愛くるしい弟妹とぽややんな従弟だけは真っ直ぐに成長して欲しいと日々奮闘している。
 「天馬の騎士」となるべく修練の毎日を送る、のちの「天魔の騎士」。
 岬流概念武装は「二手」クラス。

□天馬環/てんま・たまき
 天馬家長女。旗幟の姉であり、彼のいうトコロの「性格破綻者」。天魔の異名を誇り、デタラメ且つ圧倒的な破壊力の持ち主。
 座右の銘は「フェイヨンなんざ素手で」。
 大学一年。
 (破壊)悦楽主義。
 のちの「天魔の魔女」。もしくは「天魔」。
 岬流概念武装は「六六六手/テリオン」クラス。

□祐紀と和美/ゆうき&かずみ
 天馬家の末っ子の双子兄妹。旗幟曰く「翼のない天馬家のエンジェル達」。環述べるトコロの「小悪魔予備軍」。駄目兄貴の過保護っぷりと悦楽姉貴の横槍によって、絶妙なまでにバランスの取れた精神と素養の成長をみせている。

□遠崎圭吾/とおざきけいご
 天馬旗幟が受剣した際の試剣官であり、彼の師匠。涙脆い熱血漢。情に厚く、義に厚い。
 水刀「村雨丸」の使い手。
 「小袖」という概念武装を使役する岬流人外筋の人間。クラスは「四手」。岬流派の本家は海豚崎(いるかざき)。

□遠崎羽美/とおざき・うみ
 遠崎圭吾の妹。高校二年。女子フェンシング部の副部長。次期部長とも。文武両道。
 自尊心が強く、自分より僅かにでも弱いと感じたものには興味を全く示さない。
 振った男は数知れず。言い寄る男も数知れず。よって高嶺の花とも。
 厭味なほどに容姿端麗な才女である為か、外面がいい為か、周囲に嫌悪感を抱かせない。
 天馬環に師事するが、師の性格破綻なところは諦め気味。
 入学早々に「ゆんゆん少年」こと彼の俊一に一目惚れされるが、こっ酷く拒絶する。
 彼女の性格上、俊一に気持ちが傾くことなどあり得ないが、
「他の女をお姫様抱っこしながら愛の告白」は羽美の自尊心を著しく傷つけ、深く脳裏に刻み込まれることとなる。
 のち、紆余曲折あって、俊一の師匠となる。
 刺突長剣(レイピア=ドレスソード)「絢爛舞踏(ゴージャス・タンゴ)」の使い手。
 岬流概念武装は「三手」クラス。

 生涯愛する男は唯一人。自分より強い男。
 全てにおいて。などと高望みはしない。
 一点においてでかまわない。
 自分よりも秀でた男。快く敗北を受けいれられたその時、その男を一生涯愛し尽くそう。
 けして枯野俊一のことではない。けして。断じて。

□枯野俊一/かれの・しゅんいち
 従兄であり親友であるところの旗幟曰く「ゆんゆん」少年。天然純粋培養。
 惚れっぽいが、その恋が成就したことは一度足りとてない。
 博愛主義で安穏派。
 母方が魔術系の血筋の出であるが、温厚な性格や容姿は一般人である父方の血を強く継いでおり、周囲から特に魔術師としての才を期待されずに育てられた。
 よって潜在魔力はインチキなまでに質量共に潤沢であるものの、能力はへっぽこぴー。というかまったく使えない。
 旗幟がときたましている受剣の試剣官のバイトが「ぼーっとしててもお金が貰えるおしごと」だと知って(そう認識して)、中学卒業後の春休みの際に受剣を志願する。剣をまともに持ち上げることもできないひ弱さから合格は絶望視されたが、クレイモアを剣士(受肉精霊)つきで召喚するという前例のない方法で一発逆転を遂げる。
 プライベートではショートパンツを好む。
 世界のありのままを平然と受け入れる。盲目にではなく、世界の闇や穢れを認めた上で、世界の友であることを宣言する。
 こういう、敵を斃すのではなく、敵を友として迎え入れることのできる人種が一番厄介な人間である。
 マスター・タイプの魔術師。彼が悪意に遇する時、世界の一部が全力で彼に味方する。
 世界の極一部を味方にする、世界の極々一部を支配下に置くその力。世界を支配するなんて日常離れしたその力。そしてその非日常活性領域を「祭典領域」という。
 岬流概念武装は「無手」クラス。

 クレイモア曰く「羊」。狼を畏れ、屠られる羊。
 しかしこの羊は、狼を畏れ、されど対峙することをけして畏れず。

□枯野草子/かれの・そうし
 その名前と容姿から、若かりし頃はよく女の子と間違えられて辟易していたらしい。眼鏡の優男。
 虫も殺さぬような顔でありながら、けっこう毒舌家。
 無類の動物好きで、暇があれば猫だ犬だ鳥だなんだとお近づきになりに出て行く。
 受剣時、動植物を無条件で使い魔/ファミリアにすることができる「ソロモンの指輪」を得るが、指に嵌めようとしたその寸前に、自らの意志で湖底に投げ棄て、一生に一度の試剣を破棄する。
 この時の試剣官は海豚崎にけ。陰で「受剣生殺し」と叩かれ、その生涯でただ一人たりも合格者を出さなかった女である。

□枯野にけ/かれの・にけ
 旧姓海豚崎/いるかざき。漆黒の魔女。闇の嬌笑。ちんまい悪魔。物質変換/クンストの能力を持ち、触れたものを黒い羽根に換える。
 グングニルの魔槍、ミョルニルの雷撃を握り潰す高い身体戦闘能力を持つ主婦。
 鴉の翼、蛇の狡猾な知性、獅子の凶暴さに豹の敏捷性、犬の嗅覚と猫の身勝手さを備え持つ。ちなみに象が踏んでも毀れない。最凶。
 枯野姓となり家庭に納まったからには多少は人間の丸みが備わったのか、無闇矢鱈と縁のない筈の戦闘に参列することは無くなったが、一騎当千の兵の一角を成していることは、きっと、生涯変わらないだろう。
 現在は単身赴任の夫に連いて遥原市を空けている。
 岬流概念武装は「百手/ヘカトンケイル」クラス。
 錫杖にして槍、三日月刀にして打突剣という死神の鎌「雁音/かりがね」の使い手。

 海豚崎姉妹の、ちんまい姉の方で、魔術に長けている方で、人間として駄目な方。

□天馬大吉/てんま・だいきち
 名は体を表す通り、おめでたいぐらいに楽天家だが、天馬というよりも肥えたる馬である。りある「くされむーみん」。
 短足樽腹の醜男。モテるような素養などどこにもない筈だが、当時の遥原市のアイドルことみけ嬢をげっちゅーした、ケダモノ。
 彼女にフラレた男ドモの襲撃、さらにはみけの実姉である破壊魔にけの迫撃――のちに地獄の釜を解放した、と評せられる「七日間戦争」を生き延び、見事にごーるいん。今に至る。
 マッパー。弟子は神楽坂浩文。
 転移魔術師。

□天馬みけ/てんま・みけ
 海豚崎姉妹の、背丈胸ともに大きい妹の方で、魔術オンチの方で、人間として女性として出来ている方。
 おっとりホガラカとしたはにゃ〜んな女性。
 ナニが彼女のハートを掴んだのか、短身樽腹の醜男なんぞとくっついてしまい、すぃーとほーむを築いている。万年発情ばかっぷる。
 主婦としては一流。子育ては放任主義。しかし夫と子供たちには全幅の信頼をおいている。
 岬流概念武装は「一手」クラス。

□海豚崎ひめ/いるかざき・ひめ
 海豚崎姉妹のえらく歳の離れた末の異母妹。旗幟と俊一の幼馴染にして同年代の叔母。
 遥原市の受験祈願の神社「八俣神社」の巫女。中学卒業後、昔かわした「やくそく」を破って高校進学せずに神事に修したため、旗幟に少しだけ恨まれている。
 魔槍を放つ眼帯「グングニル」の使い手。
 岬流概念武装は最高位の「千手」クラス。海豚崎家歴代の中でも、過去に例のない特異能力者。唯一、潜在的に俊一の方が上回っている。

□海豚崎香/いるかざき・かおる
 旧姓西園寺/さいおんじ。ひめの実母。海豚崎当主の後妻。えらく歳の離れた妻。あえて正確な年齢は伏せるが、おそらくは海豚崎姉妹と同年代か。
 社域では巫女服を着装しているが、それ以外ではジーンズルック。こざっぱりとした男前な性格。愛煙家。
 符術士(スペルアンカー)で、社務所で扱っているお守りは彼女の手によるもの。

□篠宮しのぶ/しのみや・しのぶ
 現女子フェンシング部部長。名士篠宮の姫君。薔薇姫。
 烈火の魔術師にして、剣聖クラスのサーベルの達人でもある。
 普段は可憐に振る舞っているが、怒らせると怖い。つか、鬼女と化す。サディスティック・ボマー、ヒステリック・ボマーとも。
 炎属性の半曲刀「エクスカリバー(硬い稲妻)」の使い手。

□神楽坂浩文/かぐらざか・ひろふみ
 現生徒会長。眼鏡の優男で、第一印象は堅物メガネくん。
 欺瞞を許せず、女子の偽装(胸のサイズとか体重とか年齢とか)を鋭く見破る。
 思考に耽る時、ぐるぐる歩き回る癖がある。
 左利きだが、それを矯正する為に弓道をはじめた。和弓は右用のため(左要は極少)。
 マッパーで、常に2Bのシャーペンときめの細かい方眼紙を携帯している。
 白紙領域が許せないタチで、男子禁制の女子フェンシング部をマッピングする為に校門前で同部長篠宮しのぶを待ち構えた「三顧の土下座」は、生徒会史三大ご乱心事件のひとつとしてのちに伝説となる。
 座右の銘は「愚痴の数だけ前へ進め」。

□荒井妙子/あらい・たえこ
 女子合気道部。竹を割ったような正確で、篠宮しのぶの友人。
 大食漢で、学食の有名人の一。
 物質変換/クンストの能力を持ち、触れたものを砂塵に換える。
 「砂掌/さしょう」の異名を持つ。



■魔術武具/用語設定
□応石/おうせき
 反応石。感応石。ジェムストーン。とも。
 基本魔術を行使するに伴い使用される触媒。
 純度の低いものは、地中を掘り起こせば普通に出土するが、術式に用いられる応石は鉱山から発掘される。
 鉄と同様、大地にも海中にも自然界にごく普通に存在する。
 但し、受剣の試剣時に与えられる応石は、旗幟曰く触媒効果をもたらさない只の小石である。

□物質変換/クンスト
 俗世では黄金練成が知られている技術。文字どおり、物質を別の存在に変換する。
 交換レートはあくまでも等価であり、ありふれた物質はありふれた物質に、黄金などの稀少物を求めるならば別の等価値にあたる稀少物を用意しなければならない。
 水をクンストで沸騰したお湯にすれば即座にカップラーメンが作れ、お湯を注いだカップめんをクンストで三分後の状態にもできる。物凄く無意味でエネルギー消費につながるが、学生時代はこの無意味さが何故か楽しく、クンストの修練にもなったりするとかしないとか。

□符術士/ふじゅつし
 えらく俗的な表現をすれば呪文使い。言霊士とも。視聴覚系魔術であり大別して文字や記号を使役するものをスペルアンカー、詠唱呪文者をキャスターという。

□転移/てんい
 テレポート能力。青い応石/ブルージェムを触媒に使う。
 転送地点を青い石に記録させることがこの能力の発動条件。触媒に使用した石は再利用できない為、普通は記録を他の石に複写して用いる。
 対記憶領域、対転移領域には使用できない。
 世界の記憶に接触できる管理者/アドミニストレータの能力を持つ魔術師には、転移情報/アクセスログが読まれてしまう為、完全犯罪などにはむかない。転移も管理者系能力のひとつである。
 学食転送は転移能力者にとって、ちょっとした小遣い稼ぎになる。
 ちなみに、青石は一般600円。学割等で500円。原価は456円也。国内有名産出地は伊豆である。

□管理者/アドミニストレータ
 情報操作系能力。世界の記憶に接触し、これを読み取る。
 その多くはリーディング系だが、極希にライティング系能力者が存在する。
 枯野俊一の「祭典領域」はライティング系能力である。



□櫛鉈/くしなた
 櫛の形状をした、鋭い針刃を帯びた巨振りの鉈。
 髪を漉くように敵の首を刎ね、胴を断つ。
 厚味をもった刀身を楯のように用いることも。
 魔力を帯びてない剣では一撃で裁断される。

 所有者は天馬旗幟。


ミョルニル
 鉄長手袋。篭手。両手装備。
 空気を撃つことで離れた敵を直接攻撃することが出来る。
 又、周囲の気流と空気中の水分を操作することで雷撃/ハンマーを放つ。
 射程距離は最大16km。主戦となるであろう白兵戦を想定すれば事実上、視覚内の全敵、是を討ち滅ぼす。
 大気の覇王。

 所有者は天馬環。


グングニル
 眼帯(アイパッチ)。
 不可視にして必中、不可避、故に必殺の魔槍を放つ。装備の特徴から死角が大きくなり射角は限定されるものの、射程が視野全域に及び詠唱無し、連続投擲可能なことから驚異的な威力を誇る。

 所有者は海豚崎ひめ。


■々/のま
→ 人の象(かたち)をして人にあらず。「人々」と人の群れを指し示す時、群集に紛れた人はでない存在。受肉精霊。化生。人外。
 それらを総じてここでは「のま」とよんでいる。記号で記すと「々」。

クレイモア
 枯野俊一の魔術武具である両手用大剣(クレイモア)を本体とする精霊。

□まどか/魔女の竃(大鍋)の精霊。家霊。
 枯野家の住込みのお手伝いさん。
 枯野にけ(俊一の母。旧姓海豚崎/いるかざき)の所有する魔女の竃(大鍋)を本体とする精霊。
 単身赴任の夫に連いて家を空けることになったマスターの命を受け、枯野家のセキュリティ一切を担う。
 耐火耐水能力に優れ、炊事洗濯掃除をそつなくこなし、薬事を修し、毒を孕む。